笠井食品 株式会社(味百珍 かさい)

珍味食品における独自ブランドを強化。製造から卸・小売の業態へ進展

若林 佳生さん[代表取締役]


漬物の加工技術を珍味に活かす

笠井食品は戦前、神戸で営業していました。当時は海軍軍需部に納めており、現在の大手食品メーカーに匹敵するような会社であったと聞いています。終戦後、金沢の遠縁から当地百貨店の食品部とのご縁をいただいたのが、金沢へ来るきっかけでした。金沢での創業は昭和26年、戦前の創業者から数えると私は4代目になり、昭和33年に法人化、現在58年目に入りました。金沢は伝統の街として老舗食品会社が多く、小売も厳しい環境の中、当社は食品メーカーとして移転開業しました。丁度その頃、日本の温泉地の開発が進み、石川県でも和倉温泉や加賀の温泉地が賑わい始めました。その頃食品メーカーとして行き詰まりの時期にあり、転業を検討していた時期と重なったことから、温泉地への進出が当社の大きなチャンスと捉え、温泉地を商圏とする土産品製造へと業態を変え、お土産品として漬物を主に展開しました。当社のこれまで培ってきた漬物を漬け込む技術や「なめ味噌」の加工技術を活かした「珍味」へとシフトしていきました。お客様に喜んでいただける質の高い商品を提供したいと製造から卸、そして小売までを自社で手掛けることが、質の高い商品を適正価格で提供できる術(すべ)と考えました。加えて商品のブランド力が必要であり、流通ルートを確立して販売していくことがブランド確立への第一歩として取組んでいます。

ブランド確立のため様々な工夫を凝らす

今、わが社に必要なものは、商品自体のブランド力です。例えば新大阪駅に降りると「中華まんじゅう」の匂いで誘われ、ブランド化した品物がお土産としてよく売れています。それは、ブランドとして認知されている五感とパッケージの信頼が「本場のイメージ」を醸(かも)しだしているのだと思います。ブランド商品として認知してもらうためには、先ずお客様に商品を知ってもらう事が大切です。どうしたらいいかと色々試行錯誤をする中で、かまぼこの製造をしていたことから「出来たてのかまぼこ」の販売を始めましたところ、「美味しい!」との評判をいただきました。お客様に手づくりをしているところを見ていただけるように店舗を改築し、毎月8の付く日には日頃の感謝の心を込めまして「あげ丸天」を100円にて販売させていただいております。他に、季節によっては、夏場は縁日のようにイカを焼き、寒くなってきたときはイカ飯を作ってお客様にご来店いただく努力をしております。おかげ様で種類も多く、楽しく求めやすいとのお声をいただいており、ご自宅用はもちろん手土産にもお遣いいただいております。今年3月に開通した北陸新幹線金沢開業を、多くの方々に当社の商品を知ってもらえる機会と捉えています。地元を中心に機動力を発揮して、新幹線効果にあやかりたいと思っています。

笠井食品 株式会社(味百珍 かさい)

■ 住所/〒921-8044 石川県金沢市米泉町8-8
■ TEL/076-247-2231
■ 代表者/若林 佳生
■ 創業/昭和26(1951)年
■ 法人化/昭和33(1958)年
■ 業務内容/水産加工品(珍味、練り製品等)製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります