NAS(中島アグリサービス)

脱サラで「こだわり」の米づくりに、そして「中島菜」で地域おこし

松田 武さん[代表]


仲間と農業機械利用組合を設立

周囲の荒れ果てた田んぼが増えてきたことが気になり、自分もサラリーマンをしながら田んぼをやっていけないかと思い、専業農家に聞くと、口を揃えて高額な農機具の維持費が大変との返答でした。そこで専業農家5軒と私も加わり、農業機械利用組合を設立し、農機具を共同利用して助け合いながら「おいしい米」を作っていこうとまとまりました。  組合の設立には全員で漕ぎ着けたものの、いつの間にかみんなの田んぼを一人でやってくれれば、なお効率がよいのではないかと言われ、予想外の展開に後には引けない状況に追い込まれました。妻に相談したところ、一つ返事の「がんばれ」が追い風となり、27年間のサラリーマン生活に別れを告げ、総面積20haを背負い農業一筋に専念する事となりました。  やるからには中途半端にはできず、「こだわり」を持ってやりたいと考え、想いは次第に膨らみ、楽しみにもなってきました。その「こだわり」から、水はきれいな山の麓から取り入れ、海の恵みでは当地の有名な「中島の牡蠣」の殻の粉末に鉄分を加えたものを水田に撒き、堆肥には糠を入れました。自然豊かな環境が私を後押ししてくれ、甘味と粘りがあるこだわりの米に仕上がりました。食べていただいた方から、炊き立てはもちろんのこと、冷めても美味しいとの評判をいただき、減農薬栽培(エコ栽培)に力を注いだ結果、県からの認定を受ける事ができました。

「中島菜」をメジャーに

米づくりで貫いた「こだわり」への想いは、ご当地野菜の「中島菜」への興味も呼び起こし、この野菜を何とかメジャーにしたいと思うようになりました。  「中島菜」とは昔「中島かぶら」と呼ばれ、実が小さく、葉を食べるかぶでした。商標登録から「中島菜」と呼ぶようになり、成分は葉物野菜としては珍しく、多くの体に良い成分を含んでいます。  血圧を下げる効能や、わさびの5倍に及ぶ抗酸化作用があり、ビタミンC、ルテイン等を有するなど、魅力満載のご当地野菜に惚れてしまいました。その魅力はきっと地域おこしにも繋がると考え、米づくりと両立できることから、今では50aの作付面積となっています。  作り方は、秋に種をまき、無農薬で越冬させ春に収穫します。そして、生鮮で出荷するより自分で粉末加工にすることで用途が増え、誰もが馴染みのある麺にすることが広がりを生むと考えました。その結果、「うどん」、「そうめん」、「パスタ」など「中島菜・乾麺シリーズ」を完成させました。ちょっと高額なものになりましたが、その価値は十分あると自信を持っています。是非ご賞味頂きたいと思います。また、「飴」、「塩」なども手がけており、今後は新商品開発にも夢を膨らませています。  北陸新幹線開業は「能登・中島」へ人を呼ぶ絶好のチャンスです。近年、生産者の顔が見える時代となっており、私自身も観光PRに努めなければならないと思い、当地一大イベントの「中島牡蠣まつり」に積極的に参加し、「米」と「中島菜」も併せてその魅力を発信しています。

NAS(中島アグリサービス)

■ 住所/〒929-2241 石川県七尾市中島町浜田5-33
■ TEL/0767-66-1579
■ 代表者/松田 武
■ 創業/平成12(2000)年
■ 業務内容/農産物の生産・加工販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります