中島忠平漆器店

オリジナルの輪島塗でブランド創出。人気シリーズからユニバーサル漆器まで

中島 利雄さん[代表] ゆき子さん[妻]


「26年度石川ブランド商品」に認定

明治5年に初代岩松が屋号の「忠平」を名乗って創業し、現在の私で5代目になります。当地輪島の漆器屋の中でも古いほうになります。当店は、下地から研ぎ物、中塗りまで手がけており、一点ごとの手づくりなので色々な注文に対応できます。フットワークが良いところも特徴の1つです。古いといわれるかも知れませんが、24時間365日の体制で対応しております。これが中島忠平漆器店の売りであり、これからもこの姿勢にこだわっていきたいと思っています。  輪島塗は年末が一番の書き入れ時で、迎春用品がよく売れます。昔は屠蘇、重箱、煮物椀などが人気商品でした。それ以外に毎年1つは目を引くオリジナル商品を作ってきました。中でも人気商品の福助は、正月用品のためのめでたい模様やデザインを色々な参考資料から探している中から生まれました。その中に目を引くものがあったので、蒔絵師に描いてもらいました。それが福助だったのです。  その後、私と問屋の方、蒔絵師の3人で相談をして図案を決め、商品にして納めたものの、当初、百貨店の担当者の評価は最悪のものでした。当時としては図柄が独特で、今より色が黒かったことから、何で輪島塗でこんなものを描いたのかと酷評されましたが、私らは内心面白いものが出来たと思っていました。  そして、百貨店の店頭に置いてある商品紹介冊子に載せたところ、注文が次々と入り、「やった」という思いでした。その年、平成18年に意匠登録をしたのですが、その後の更改手続きを忘れていて昨年改めて商標登録を行うと同時に、「26年度石川ブランド商品」の認定を受けました。

お年寄りから子供まで使える食器が好評

一昨年からは、ユニバーサルデザインの新商品も手がけ、このたび完成いたしました。商品は、ピック、カップ、皿です。この商品開発のきっかけは、病気などの後遺症がある方は通常プラスチック製の食器を使われますが、手を使いづらい方も家族と同じ食器を使って団らんの席をみんなで楽しめればという意図で始めました。また、そういう食器であれば小さな子供さんも使えるんじゃないかということで、両者に使っていただけるものを作ることにしました。  商品開発にあたり、「25年度いしかわ産業化資源活用推進ファンド」を活用して制作しました。同時に、石川県工業試験場の協力も得て、機能性を重視してデザインしました。お蔭様でこのたび、この新商品(三世代家族の絆を深める輪島塗のご褒美漆器)に、石川県より「第16回石川県バリアフリー社会推進賞 優秀賞」を受賞しました。お年寄りから子供まで使えるこの食器を広く多くの方に使っていただきたいです。  我々が携わる伝統的産業は大きく広げようと思ったらどこかで無理が生じるので、自分たちの目の届く範囲で製造していかないと、お客様の信頼は得られないと思っています。商売はこれまで先代のやり方を継いできておりますが、今後はこれが一番いいという方法で営んでいきたいと思っています。

中島忠平漆器店

■ 住所/〒928-0077 石川県輪島市鳳至町堂金田4-15
■ TEL/0768-22-0046
■ 代表者/中島 利雄
■ 創業/明治5(1872)年
■ 業務内容/輪島塗製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります