高尾商店

麹屋5代目が造るこだわりの味噌。自家製の米と大豆を使った手づくりの旨さ

高尾 良雄さん[代表] 洋子さん[妻]


発酵の元になる麹づくりが原点

家族3人と従業員1人の合わせて4人で営んでいる小さな味噌屋です。いまやすっかり味噌屋で通っていますが、そもそもは代々続く麹屋で、私が5代目になります。麹とは、簡単に言ってしまえば発酵の元。麹屋は、米や麦といった原材料に種麹を植え付けて麹にすることを生業としています。
以前は、味噌は家庭で造るものでした。創業以来、味噌を造るための麹を製造しておりましたが、麹造りだけでは食べていけず、半農、半漁の兼業で生活していました。かつては、200戸ある旧甲村に麹屋が2軒あり、穴水町全体では10軒程あったと思います。昔は地域ごとにそのエリアの家々の味噌造りのための麹屋があったんでしょうね。
ある時、商店へ行くとパック入りの地元味噌を見かけました。地元で商店に出している人はいないはずだと思っていたのですが、しばらくしてその味噌は県外の味噌をパック詰めにして、地元味噌として売っていたことがわかりました。それを見てこういう味噌でも売れるのか、それなら私らもと思って少しずつ売り始めたのが味噌屋を始めるきっかけとなりました。
その後、味噌を造る家庭が次第に減少し、味噌を買い求めにくるお客様が多くなってきたので、昭和55年に地元の古い中学校の校舎を譲り受け、免許を取得して正式な味噌屋として創業しました。

全てを自分で手がけるからこそ独自の味が生まれる

うちの味噌屋としての特徴は、材料の米と大豆の自家栽培から味噌の製造販売まで、一貫して自分で手がけていることです。米の栽培のきっかけは、かつて全く入ってこない時期があったからです。大豆においても、10年に1度くらいは不作で価格が高騰したり、手に入らなくなったりすることがあったので、自家栽培を始めました。その後、周辺の耕作放棄地でも栽培するようになり、今では米15ha、大豆1haを栽培しています。
この自家製米と自家製大豆に一部県外の大豆を使い、並塩を入れた「かぶと味噌」、珠洲の塩を入れた「能登コシヒカリ味噌」、海洋深層水の塩を入れた「能登深層水味噌」の3種類を造っています。それぞれに特徴があり、お客様から好評をいただいています。
中でも「かぶと味噌」はちょっと辛めに造ってあり、魚の味噌汁にも合い、海藻との相性も抜群です。  味噌造りでは麹、大豆、塩の割合が出来ばえを左右し、そこが店独自の味になります。特に味噌の旨みにおいては麹が一番大事だと思っていますので、うちは多めに入れるようにしています。造り方は単純ですが、材料はできるだけ良いものを使う、古い材料は使わず新しい良いものを使うことにこだわっています。麹は新米で造り、大豆も収穫したばかりの新物を使います。
このように良い材料を使った新商品やレシピを作り、もっと多くの人にうちならではの美味しい味を知ってもらおうと、色々と試行錯誤をしています。いずれは、味噌の倉庫や米の倉庫を作り、工場を広くして味噌造りを体験してもらうようにしたいと考えています。

高尾商店

■ 住所/〒927-0211 石川県鳳珠郡穴水町字甲ソ119
■ TEL/0768-58-1234
■ 代表者/高尾 良雄
■ 創業/大正3(1914)年
■ 業務内容/麹、味噌製造・販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります