株式会社 SALINA

ピザの味は作り手の技術次第 本格的なナポリピザで郊外の人気店に

林 正治さん[オーナーシェフ]


石川では唯一 本場協会認定のピザ店

店はオープンからちょうど10年を迎えました。「真のナポリピッツァ協会」の認定番号「272番」は世界の通し番号で、僕がピザを始めた18年前は日本には1軒もなく、雑誌で協会幹部の来日記事を見て、いつか自分も取れたらいいなぁと思っていました。石川県では今も当店だけですね。
以前、ナポリ人は本当に毎日ピザを食べているのか、彼らの生活を知りたくて6ヶ月間イタリアへ渡りました。本当に食べていましたよ。イタリアにおけるピザは、ファーストフードで安いんです。おやつ用の小サイズなら約100円。食事のピザでも1枚300〜400円でお腹一杯食べられるので、お金のない若者が週5回も行くんです。日本ではイタリア料理ってそんなに連日行かないですよね。食材も輸入なので、3倍4倍と高くなってしまいます。
そこで、もっと気軽に食べてほしいと、今年5月に移動販売車を購入しました。イタリア製の窯を積んでおり、車を覗くと火が入っているので皆さん驚きます。イベント販売のほか、数家族が集まるホームパーティ、社員向けに会社へ呼んでもらう等、要望があればどこへでも行く予定です。
イタリア人から学ぶところは、仕事と遊びをきっちり分けている点。言葉はレストラン用語しか分かりませんでしたが、手仕事なので見て覚えました。もちろん親切に教えてくれたのですが、分量や力加減、火加減などが感覚的で、明らかに昨日と違う目分量なのにできあがりはいつも同じ味。独特な職人技は、日本人には真似できないと感心しました。

店名の由来は親族が守った揚げ浜塩田

今でもたまに、なぜ自分が料理の世界にいるのか不思議に思うことがあります。学生時代は家業の漆器業を継ぐつもりでした。ただ、母の実家が奥能登に400年前から続く揚げ浜式製塩の技を、日本で唯一守り伝えてきた家だったので、こんなにおいしい塩があるのに使わないのはもったいないという気持ちはありました。今はこだわりとして、その塩を使っています。ピザになると食べても違いは分かりませんから自己満足ですけどね。店名のサリーナは、「塩田」という意味です。
開店当初、なかなかお客様に来ていただけませんでした。大通りではない目立たない場所を探したからなのですが、それまでイタリアでも東京、名古屋でも周りから褒められ、自信満々で開店したのに誰も来ない。そこで、どうせ潰れるなら好きなことをやって潰れる方がいいと開き直ったら、気に入ってくれる方が増えました。今も自分が好きなことをやっているだけです。
店で出すピザは、食材はナポリと同じですが、やはり作り手によって味が違います。最終的には作り手の技術です。ナポリでおいしいものは、どこで食べてもおいしいはず。突き詰めていけば、お客様に選んでいただけると信じています。

株式会社 SALINA

■ 住所/〒920-0961 石川県金沢市香林坊2-12-39
■ TEL/076-255-3546
■ 代表者/林 正治
■ 創業/平成16(2004)年
■ 業務内容/ピッツァ・パスタ等イタリアン料理店

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります