株式会社 八木繊維工業

試行錯誤を重ねたオリジナル製品で多くの認定取得
繊維業界から土木業向けの製品開発に参入

八木 秀樹さん[代表取締役]


改良に改良を重ねた「防草シート」

昭和46年に父が八木繊維として創業しました。当時、両親が近所の方々と一緒に始めたと聞いています。私は地元の大学を卒業後、東京の婦人服のアパレルメーカーに就職し、6年間勤務した後、家業を継ぐために帰ってきました。平成7年に法人化すると同時に代表取締役に就任しました。
創業当初は撚糸業がメインでしたが、それだけではなかなか食べていけないことから、糸を加工するワインダー業を始め、さらに丸編みニット業にも参入しました。仕事は商社やメーカーからの委託製造の工賃稼ぎでしたので、自分で価格をつける仕事をしていけばもっと収入が増えるのではないかと考え、その時に物作り事業を思いつきました。そんなある日、県庁の前を通りかかった際、木の周りに張ってある暴風避けのネットが裂けて強風に煽(あお)られていました。その光景が商品作りのヒントになったのです。
大手繊維メーカーが開発した、トウモロコシを原料にした生分解する糸を活用して暴風ネットを作ってみれば面白いのではないかと考えました。その糸に肥料を染み込ませて作ったネットが避けたりして不要になった時に、それを樹木の根元に埋め込んでしまえば、腐った糸が栄養になって樹木の生育に役立つのではないかと考えたのです。
その時に、相談していた県工業試験場の職員から、逆に「防草シート」を作ればどうかと勧められ、それが商品作りのきっかけになったわけです。その後、開発を進めていき、試行錯誤を繰り返しながら改良を重ねた末に現在の商品にたどり着きました。この商品は土木業者向けであることから、我々繊維業者が参入する場合には、認定とかお墨付きが必要と考え、5カ年指導を受けていろいろな認定(実用新案取得、NETIS、第48回全国繊維技術交流プラザ優秀賞、地域資源活用事業認定、石川県建設新技術認定、石川ブランド認定製品等)を取得するに至りました。

自然に優しい製品作りで社会に貢献

「防草シート」のアイテムでは生分解する商品が柱ですが、全く真逆の石油由来製品(太陽光発電の野立ての下仕様)と法面用の製品を含めて3種類あります。現在、会社の売上全体の10%くらいを占めていますが、将来的には50%以上にしたいと思っており、インターネットやホームページ、ブログを利用して売上を増やしていくつもりです。
会社の基本姿勢は「環境に優しい製品を作っている会社」です。当社は生分解する商品で国から認められている中の1社ですが、開発が早かったのか遅かったのか?商売には努力も必要ですが、運もあると思います。運がなければ呑(の)まれてしまいますし、風もあります。将来のことはわかりません。それでも一生懸命していることを認められるしかないと思っています。今後、私がやり始めた「防草シート」の仕事をメインにして、皆さんに喜ばれる製品を作っていきたいです。

株式会社 八木繊維工業

■ 住所/〒920-0226 石川県金沢市粟崎町ほ42
■ TEL/076-237-5335
■ 代表者/八木 秀樹
■ 創業/昭和46(1971)年
■ 業務内容/繊維製造加工・防草シート製造販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります