Los Angeles

誰もが安心して食を楽しめる社会に
無農薬野菜やグルテンフリーを扱うお店

福田千鶴子さん［スィーツ担当］　森島幹博さん［店主］

東日本大震災を機に避難金沢初のヴィーガンカフェ

東日本大震災を機に福島県いわき市から石川に避難しました。しばらくは無気力な日々を過ごしましたが、震災から3年後の2014年3月11日、自分自身のリハビリのつもりで金沢市大手町にカフェ「ロサンゼルス」をオープンしました。店の雰囲気は昔、ロサンゼルスに行った際、よく通った有名なカフェを真似してお店を始めました。ただ私自身、子どもを連れて福島から避難してきた避難者でもあり、食の安全に強い関心を持っていました。支えてくれる人たちとのつながりの中で、お店の食材は県内の無農薬農家「エコファーム奥野」や「トモファームあゆみ野菜」から仕入れるようになり、オーガニックメニューを揃えていきました。無農薬野菜を使ったサラダランチは、安心な食に関心の高い、特に女性から人気を得ています。また海外では、動物性食品を全く使用しない「ヴィーガン」はベジタリアン同様に一般的です。お店には多くの外国人観光客の方も来店します。自然な流れで当店は金沢初の「ヴィーガンカフェ」としても知られるようになりました。

アレルギーっ子ママとのつながりで飲食店マップや米粉パンの開発へ

ヴィーガンカフェは卵や牛乳などを使わないため、食物アレルギーのある子を持つ母親たちも来てくれるようになりました。現在スイーツを担当する福田千鶴子さんも、そんな中で知り合いました。普段食事制限をされているアレルギーっ子に店のマフィンを見せて、「どれを選んでもいいの？」と喜ぶ姿がうれしいです。福田さんをはじめそのようなママたちと協力し、お店を拠点に「るみえ～る」という、アレルギーっ子ママのための交流団体を立ち上げました。るみえ～るメンバーの協力と石川県産業創出支援機構の助成を得て、特定原材料27品目のアレルゲン不使用のバースデーケーキを開発しました。昨年2月に幼稚園で行ったお披露目会は、会場に入りきらないほど、たくさんの人が来てくれました。バースデーケーキだけでなく、アレルゲン対応のケーキは、お店の人気商品です。
その後も「るみえ～る」の活動は続きます。「アレルギーっ子がいても入れる飲食店の情報を知りたい」というメンバーの声から、メンバーと一緒に飲食店に協賛を呼びかけてまわり、24店舗を掲載した「食のバリアフリーマップ–金沢市中心部編」を今年3月に完成させました。「誰もが安心して食を楽しめる社会」を目指す活動の一つです。この取り組みももっと発展させたいです。
ケーキに続いて今は「27品目特定原材料不使用の県産米粉パン」に取り組んでいます。店頭にたくさんの種類のパンを並べて、アレルギーっ子が「どれを選んでもいいの？」と目を輝かせながら、おいしいパンをほおばる。そんな幸せな光景を見たいと思っています。