居酒屋連

素材を活かした豊富なメニューと細かな気配り
奔（はし）りや市場に出ない珍しい魚介類を提供

河上美知男さん［店主］

自然の味を活かして美味しく食べていただく

輪島市の「居酒屋連」です。平成10年11月にオープンし20年目に入りました。実家が民宿を営んでいたこともあり、将来は板前になろうと学生時代から決めていました。このことについては両親の賛同が大きな後ろ盾となりました。
高校を出て、金沢市内の調理学校へ進学し、卒業後は金沢市の老舗料亭「大友楼」で3年間修業し、郷里の輪島へ戻り割烹に勤めました。その後、居酒屋の新築出店に当たり、板長を12年間務めました。その後、自分の店を持ちたいという強い思いから2年間という短い期間でしたが、賃貸で商売をしました。馴染みのお客様も付き、これならやっていけるという確信を持てたことから、思い切って独立開業しました。開店当日の昼頃まで業者が内装工事をしているかたわらで、料理の仕込みを終え開店を迎えた感激が昨日のことのように鮮明に蘇ってきます。
私の店の特徴は、自分で潜って釣って獲ってきた「奔（はし）りの魚介類」を提供しているところです。新鮮な旬の食材や、時には市場に出ない珍しいものも提供しています。輪島は食材に恵まれていて春は「メバル」や「河豚（ふぐ）」が獲れますし、夏は海藻の「海そうめん」や「サザエ」「アワビ」等の貝類、秋は底引き網漁の解禁とともに「のど黒」等が大量に揚がるようになります。これらの食材を変に加工をせず、食材の自然の味を活かす食べ方が一番美味しく食べていただけると思っています。

笑顔を心がけお客様の好みを覚えて提供

店の名前の「連」には、友人や知人等が連なって良い形で長く続いていけばいいなという意味を込めました。7席のカウンターと、7つの個室50人分の計57人まで受け入れ可能です。各部屋にはその日のお勧めや季節の旬のものを黒板に表示し、水槽には私が釣ってきた生きた魚を泳がせています。メニューは刺身や揚げ物からご飯物まで103種類、他に飲み物は日本酒、焼酎、ビール、ウイスキー、ワイン等のアルコール類からウーロン茶等のノンアルコール類まで品揃えは豊富です。
商売のモットーは「お客様の目を見て話す」。返事をする時でも必ず目を見て答えるように心がけています。目を逸らすと相手の方にどうしても愛想のない印象を与えてしまうような気がして、逆に私がそんなふうにされた場合、愛想のない感じを受けます。従業員にも料理をお出しする際には、膝を落として自分の目をお客様の目線に合わせてお渡しするように常々言っています。笑顔を心がけ、常連のお客様の好みを覚えて珍しいものを揃え、ご期待に応えられるように努力しています。
最近、次第に若いお客様が多くなってきており、自分の長男の時代に移っていくのかなと思う場面が多々あるようになってきました。今後は長男に徐々に任せていこうと思っていますが、お客様に満足いただけるように、お客様ファーストの精神で選ばれる店であるように精進していきたいと思います。お客様は敏感に店の姿勢を感じ取って選ばれますから。