株式会社 谷技工所

県内で最初に金具のない義歯製作を手がける
最新設備で本物の色に近い被(かぶ)せ物の冠をつくる

谷 和博さん[代表取締役]


義歯と気づきにくく軽くて違和感がない利点

義歯をつくる仕事を始めて40年になります。高校を卒業して繊維会社に2年間勤めましたが、景気が悪くリストラも始まり、ちょうどその頃、友人の歯科技工士から誘われたのがこの世界に入るきっかけでした。その後、技工士の専門学校へ2年間通いながら技工所に勤め、5年間修行して27歳の時に金沢で開業しました。
開業して、3年間金沢にいたのですが、親のことを思い、平成元年に地元の中能登町(旧鹿西町)に帰り技工所を開業して現在に至っています。同業他社との違いは、金具のない義歯(通称「ノンクラスプ」)をつくるというところで、12年前から取り組んでいます。今では、多くの技工士の方が取り組んでおられますが、当時、県内では当技工所だけでした。
金具のない義歯の一番の特徴は、まず見た目の金具が目立たず、人と話している時に義歯であることが気づかれにくいところです。もう一つは素材の樹脂自体が軽いので、口に入れた時も物を食べやすく違和感が少ないところです。他にも、保険が適用される既存の義歯と比較すると、樹脂自体も強いので長持ちするという利点もあります。これが金具のない「ノンクラスプ」というもので、当技工所の一番の特徴です。
義歯をつくる上で一番難しいのは、歯型を見るということです。歯科医師の先生が歯型をどのようにして取ったかというところが重要で、例えば取る時にぐっと押し付けて圧をかけた場合や、先生によってはあまり圧をかけずにそっとする場合もあります。それを見分けて、どの辺までの長さに持っていけばちょうどいいのかを見分ける力が非常に大事になるわけです。そこで、年季や経験がものをいうわけです。
つくるにあたって思うことは、患者さんに対して、「一つひとつ、自分がこの義歯を口に入れられるか」ということを思ってつくっています。例えば、傷があるとか傾きがあるものは、自分自身も口に入れたくないですね。これならば、自分の口に入れられるか、入れたいかが目安です。
また、技工士の腕の見せどころは設計です。模型を見てイメージができればすぐつくれます。
模型を見てどのような形にすれば一番食べやすく、口に入れた時の違和感もなく、見た目にも義歯じゃないと感じさせられるかが、見せどころだと思います。

いずれは型取り不要の3Dプリンターでつくる時代に

昨年、CADCAM(キャドキャム)の設備を導入して、「被(かぶ)せ物の冠」仕事に取り組んでいます。これまで銀色であったのが、本物の色に近いものができるようになりました。今後、もっとデジタル化が進歩し、従来の型取りは不要になり、口腔内をスキャンしてそのデータを基に、義歯を3Dプリンターでなぞってつくっていく時代が必ずくると思います。

株式会社 谷技工所

■ 住所/〒929-1604 石川県鹿島郡中能登町能登部下63-18-30
■ TEL/0767-72-2640
■ 代表者/谷 和博
■ 創業/平成元(1989)年
■ 業務内容/歯科技工一般

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります