谷川醸造 株式会社
100年以上の歴史に培われた本物へのこだわり
糀造りに始まる独自の製法を確立した能登の醤油屋
奥能登の定番品として愛される「サクラ醤油」
明治38年に創業し、私で4代目になります。江戸時代から明治にかけて商船・北前船の船主であった谷川家の三男由蔵が初代です。由蔵は名古屋のつくり酒屋へ丁稚奉公に行き、その経験を生かして「能登杜氏発祥の地」である輪島で酒づくりを始めました。その後、味噌・醤油づくり、ビール特約店、焼酎づくり等を営んでいましたが、現在は醤油と味噌の製造に絞って事業展開をしています。
醤油は「サクラ醤油」の銘柄で、奥能登の定番醤油として地元の人達に愛されています。
醤油屋の多くは、生揚(きあ)げ(醪(もろみ)を搾って得た液体)と呼ばれる醤油の元となるものを製造元から購入して製造しています。「サクラ醤油」は生揚(きあ)げを購入し、奥能登の風土に合うように独自の味に仕上げています。また一方で、大豆や小麦から糀をつくって醪(もろみ)にするという昔ながらの糀文化がなくなってしまうのではないかと思い、「日本の食文化を守りたい」、「きちんとしたモノづくりをしていかなくてはいけない」と、5年前に昔ながらの醤油づくりを再開しました。そして完成したものが、「能登産丸大豆のお醤油」です。これにより、地元・能登産の大豆や塩での製造が可能となり、また醤油・味噌づくり体験もできるようになりました。
当社は、昔ながらの醤油づくりにこだわっています。一方で、新しいことにもチャレンジする醤油屋です。隠し味に自家製ラー油を使ったピリ辛のおかず味噌や塩糀と甘酒をベースにした糀のディップソースはその一つで、糀の食文化を少しでも皆さんに身近に感じてもらえるようにとの思いから一つひとつ丁寧に仕上げています。
和の精神と切磋琢磨から生まれる質の高い製品
当社は110年近くの歴史があります。私の代で事業の「選択と集中」を行い、醤油と味噌づくりに特化しました。次の世代にも自分のこだわりやつくり方を継承してほしいという思いはありますが、今以上にいいものができればそれでいいと考えています。「和を以って貴しと為す」。和の精神とは体裁だけ取り繕ったものではなく、「自分にも人にも正直であらねばならない」と言われており、私もその思いで実践しています。不満があればお互いにそれをぶつけ合い、理解し合うということが本質ではないでしょうか。
社内でお互いに意見を交わしながらより良い商品づくりのために切磋琢磨し合い、時には喧々諤々(けんけんがくがく)の論議があってしかるべきだと思います。妻を含めた社員には「こだわりを持ってほしい」と常々話しています。皆で考えて行動を起こすことが、会社組織としての向上に繋がるのではないでしょうか。
売れるからといって安易に大量生産に走り、やみくもに売上数量を伸ばすことに執着するよりも、自社の品質にこだわった生産体制の維持に努め、質の向上にベクトルを合わせることこそが、未来永劫「サクラ醤油」が愛され続ける道であると信じてやみません。
谷川醸造 株式会社
■ 住所/〒928-0064 石川県輪島市釜屋谷町2-1-1
■ TEL/0768-22-0501
■ 代表者/谷川 貴昭
■ 創業/明治38(1905)年
■ 法人化/昭和34(1959)年
■ 業務内容/醤油、おかず味噌、ディップソースの製造・販売
※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります