サカイレース

高付加価値の刺繍レース生地を生産
毎年パリコレクションで採用

坂井 喜代則さん[代表] 久美代さん[妻]


妻の経験を頼りに脱サラして開業

学業を終えサラリーマンをしていましたが、平成2年に辞めてレース業を始めました。レースと聞けばカーテン生地を一般的に想像しますが、当社は刺繍レースで洋服の生地を織っています。
事業を興すきっかけは笑い話のようですが、家の辺り一面のブドウ畑の固定資産税が高額で、サラリーマンの給料では払うのが厳しかったからです。そこで、どんな事業をしようかと考えた時に、妻が18歳の時からレース業に携わり、営業もでき、下準備から柄を見ることなど全工程にわたって知識や経験があったので、妻の経験を頼りに開業しました。素人の私が開業から現在に至ることができたのは、すべて妻のおかげで頭が上がりません。
開業すると決めた時に、父は技術を覚えるには中古の機械が良く、新品はダメだというのです。本意ではなかったのですが事業をどうしても始めたかったので、父の忠告に従い中古の機械1台を四国の徳島から購入して始めました。技術もひと通り習得したことで、平成4年と8年に新品の機械を購入し今日に至っています。
機械は、長さが15m、幅が8mの大きなもので、見た人全員が機械の大きさに驚いて帰られます。当社で織っているのは、刺繍レースで99%アウターのブランド製品です。織った生地が毎年パリコレクションに採用され、国内有名デザイナーからの注文もあります。
最近、新しい取り組みとして、昔では考えられなかったゴム入りの糸を裏糸に使った製品が出てきました。日本では零細工場で作ることが多く、やり難い仕事でも我慢してやりますが、こういう技術を駆使した製品は中国や韓国では真似ることができません。表と裏のバランスを取って、縮みを出すところが大変なのです。温度や湿度によっても変わるので、常に一定の温度を設定しています。当たり前のことですが、機械に任せっきりでできるのではなく、常に目と頭と勘を働かせていないとできません。

レース業に加えてアパート賃貸業も事業の柱に

本業のレース業以外にアパート賃貸業も15年前からするようになりました。町村合併前の旧高松町の時に、県立看護大学の誘致が決定し、町からアパート建設の依頼があり応じたのが始まりです。当初は事業として始めたわけではなかったのですが、その後、遊休不動産を有効活用したいと思うようになり、本格的にアパート賃貸業に参入しました。現在、部屋数は32室あります。
このように、レース業とアパート賃貸業の2つの事業を行っています。レース業においては「品質管理」を徹底し、アパート業では「入居者の安全、安心、快適な暮らし」を第一に考えています。事業については、古い考えを捨て新しいことに取り組めば、何でもできます。1軒だけで頑張っていても地域の活性化に繋がらず、皆が連携していけば地域の活性化に繋がると思っています。

サカイレース

■ 住所/〒929-1215 石川県かほく市高松ラ2-9
■ TEL/076-281-0781
■ 代表者/坂井 喜代則
■ 創業/平成2(1990)年
■ 業務内容/刺繍レース製造(着衣、巾着、ハンカチ、バッグ等)

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります