中島鈑金

自動車鈑金の枠を飛び越えて、博物館級のクラッシックカーをたった一人で手作り

中島 能成さん[代表]


幻の名車を下敷きに、自分仕様にオリジナル復刻

普通の自動車鈑金業ですが、仕事はもう息子に全部任せてしまって自分は応援に回り、趣味でカスタムカー制作をしています。たとえばヨーロッパの博物館に世界で数台だけが収蔵されているようなクラッシックカーをベースに、元の図面も何もない状態から自分で考えて形を作ります。独学です。始めたきっかけは、とにかく昔から好きだったから。どう線を引くか、納得がいくまで毎日見続け、眺めて、考えて、練り上げる時間がとても大事です。すべてのプロセスを一人で進め、毎日ガレージに籠ってひとつずつ自分の手で作業を進めていきます。他の誰の手も掛かっていない、モノとの対話。好きじゃないとできませんよ。
1台に2年はかかりますが、2台目以降は型があるので、お客さんから「これが欲しい」とリクエストされれば3〜4か月を目安で作れます。「ここは少し変えて」などご要望を聞いて仕上げます。「教えてほしい」という人には教えてあげたり、説明したり、仕事もさせてもらったりと対応しています。
現在頼まれて進行中なのは、2台の電気自動車。それは図面をもらってボディ担当です。以前には美大の先生や工ンジニアさんたちと一緒にソーラーカー製作のメンバーを10年間ほど務めました。日本各地に行き、鈴鹿で2位、北海道の大会では1位になれました。

独学と継承の技術から お金で買えない贅沢な時間

名車レプリカのカスタム製作台数はこれまで6〜7台。自分のものにしたのは1台だけ。最近、少し風がこちらに吹いてきたような兆しを感じている所です。実益は伴わないので商売ではないのですが、“作ったからそれが売れた”ではなく、作ったことで、それを見た方が“自分の思いも形にしてほしい”というかたちでの依頼が、少しずつ舞い込み始めています。
ちょっとした仲間と話していると、インスピレーションがポンッと入ってくることがあります。そういう発想を大切にしています。遊びは、良い友達と遊んだほうが絶対にいい。自分が持っていないものも友達が持っています。横につながっていくと、その横の人も何かの技術を持っていて、教わったり刺激を受ける中で長続きする付き合いになります。だから友達は多いですよ。
自分でコツコツ作り上げた、世界に1台だけの車でドライブに出かける誇らしさと楽しさは、どれだけお金を持っていても買えません。技術がなければできない贅沢です。人それぞれに、仕事も家庭も生活もある中で大変だけど、人生は短い。技術は大事に伝えて、誰か跡を継いでくれる人がいれば、あとはお金よりもどう楽しむか。もっともっと良い遊び方をして、もっともっと楽しく生きたほうが、最後は勝ちじゃないかな。

中島鈑金

■ 住所/〒929-1604 石川県鹿島郡中能登町能登部下83-3
■ TEL/0767-72-3399
■ 代表者/中島 篤史
■ 創業/昭和45(1970)年
■ 業務内容/自動車鈑金塗装、カスタムカー制作

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります