株式会社 上田組

山間の遊休農地で、山芋の栽培に着手 自然薯アイスで山芋の魅力を発信

上田 義雄さん[取締役会長]


健康志向の生活者が注目する魅力的な食材

天然ものの山芋(自然薯)の特徴は何だかご存知ですか。まず第一に、すりおろしたとろろの強い粘り。そして、きめの細かさ、色が変色しにくく白さを保ち、アクをあまり出さないことです。私たちが栽培山芋の生産を本格化させて5年。輪島市近郊の当地は中山間地の急峻な土地で、地域の人は私も含めて子どもの頃、秋には山から掘り出してきた天然ものを食べていました。とろろを味噌汁に浮かせたり、そばのつなぎに使ったりして山芋を食する食文化の中で育ってきた地元の皆さんに、「粘りもきめ細かな舌触りも、天然ものに全く遜色ない」と言っていただけています。
山芋は昔から滋養強壮に食されてきた高級食材で、近年では消化促進の効能や、女性の美容、美肌、さらにアルツハイマー発症の予防が期待できる成分ディオスゲニン(DHEA)の研究も進んでいます。
能登の自然の中に在来の素晴らしい食材があることを知っていただき、ぜひ多くの方に山芋の味を知ってもらいたい。食の安全が一層求められる中、天然ものに近い栽培環境を目指し、自家製堆肥づくりから手掛けています。消毒などの農薬は一切使用していません。私自身、小さい頃から農林水産業に身近に関わってきた経験があり、荒廃した遊休農地を建設業の複業化で活用、地域貢献したいという思いもあります。

加工商品第一弾 山芋の香りをアイスでお届け

今後の課題は販売。栽培への自信は徐々に確立できてきたものの、それを消費者に届けて事業化ベースに乗せることです。地元の有名な輪島朝市で試験販売していただいた反応でも、皆さんの関心は非常に高いんですが、買っていく人はなかなか出てこない。山芋は市場にあまり出回っておらず、一般に馴染みも薄い食材です。でもだからこそ、工夫して事業化できれば地域おこしにもつながります。
山芋の収穫期は11月以降の晩秋で、たとえば農林水産品の収穫物販売イベント開催時期が大体10〜11月。もう近々新しいものが掘れるという時期に、1年前の品物を展示・即売するのでは面白くありません。加工品をいくつか持たないと、大都市圏での物産展にも出ていけないんです。
そこで、カップ入り「自然薯アイス」を2012年に開発しました。白山市の業者さんに製造委託し、山芋の香りと独特な食感を大切にした、特徴的な味わいに仕上がりました。醤油味と塩味の2種類。次は業務用の2リットルサイズを計画しています。
健康志向が高まる中、加工商品の提供も行いながら、山芋の魅力発信に取り組んでいきたいです。山芋の市場拡大に向け、山芋のような粘り強さで悪戦苦闘中です。

株式会社 上田組

■ 住所/〒928-0032 石川県輪島市小伊勢町下島田13-1
■ TEL/0768-22-0118
■ 代表者/上田 剛志
■ 創業/昭和22(1947)年
■ 法人化/昭和62(1987)年
■ 業務内容/総合建設業・複業化事業として自然薯の生産・販売に取組む

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります