しほがま

初代の味と志を継承しつつ金沢の味に新たな息吹をもたらす創作和食店

幸田勝美さん［代表］

片町の店に以前の店のお客様が来られ料理人冥利に尽きる思い

先代である私の父が、香林坊で割烹料理店を開業し、そこの2代目として跡目を継いでいましたが、その後東力町に移転しました。今回、私のイメージにぴったりの店舗が見つかったことから、ここ片町で初心に帰り開業しました。お客様の年齢層は、40代後半の方が中心ですが、香林坊や東力の頃の馴染みのお客様から「見たよ、懐かしいね」と言われ電話を頂いたり今の店に来て頂いたりして、昔のお客様が戻ってきてくださいます。料理人冥利に尽きる思いで大変ありがたいと思っております。
料理の構成は、二部構成としています。第一部（午後6時から9時）は、自分の思いを伝えるコース中心の創作料理をメインにして、二部（午後9時以降）は、片町で一杯飲まれたお客様が帰る前に、小腹が空いたからちょっとだけつまんで帰ろうと思うような一品料理を出させて頂いております。特にお酒やワイン等の飲み物に合う料理の提供を考えており、これからもいろいろなお客様のニーズに応えたいと思っております。
価格設定は、「10品で5800円のコース」と「1000円プラスでお肉使いのコース」の2つです。中には、あれもこれも食べたいので8000円や1万円ぐらいにしてくれないかというご要望もあります。当初、お客様の客単価を、飲んで食べて8000円と設定していましたが、「1万円払ってでも、もっといいものを食べたい」と言うお客様の声が多く聞こえてきました。予算や要望に応じて、コースの中身をグレードアップすることが増えており、今までで一番豪華なコースは、「ふぐ」、「すっぽん」、「蟹味噌の上にウニをてんこ盛りにした一品」を3万円で提供させて頂きました。ちなみに蟹味噌ウニは、1人前2000円になります。
飲み物のお勧めは、日本酒とワインでたくさんの注文を頂きます。また、お料理も飲み物に合うメニューを考えてお出ししております。日本酒ではワインのような飲み口でフルーティーな「竹葉」のお酒が、微炭酸で大変飲みやすいと好評を得ています。

「目配り気配り」を大切にしてお客様に満足してもらうことが一番の喜び

実は、先代の父の前に初代の方がいて、父が修行し30年間一緒にいて代を譲り受けました。初代の方の出身地が宮城県の塩釜市で、その出身地から「しほがま」という屋号にされたそうです。
今のところは、この店でお客様に満足して頂いてリピーターを増やすことに専念しています。もう1店舗出して多角化経営を目指せばと言われることもありますが、規模を拡大すると目が届かなくなります。「自分が満足し、お客様に満足して頂ける店」というのが私の信念です。信念を曲げてまで利益を追求しようとは思いません。「目配り気配り」を大切にして、お客様に喜んでもらうことを一番に考えていきます。