有限会社 カネイシ

イカの水揚げ量を誇る漁港・小木から、イカ原料のいしり、獲れたて魚介干物を販売

新谷 伸一さん[代表取締役]


奥能登の伝統調味料 いしりは旨みが強い

当社は目の前が海。日本三大イカ漁港の小木港港内で、イカの仲卸をメインとしながら、いしりや魚介干物等オリジナル商品の生産販売も手掛けています。
いしりとは奥能登の伝統的な醗酵調味料。イカが主原料で、旨みが特徴的な魚醤です。10年前にはニューヨークにいしりを売りこむジャパンブランド事業があり、現在ニューヨークのほかロサンゼルスへも納めていますが、課題は生産量です。
いしりの仕込みは年1回。前年前々年の実績から見込んで翌年分を仕込みますが、想定以上の需要が発生すれば欠品のリスクが出ます。ここ数年、いしりは大口の取引が多く品薄状態が続いており、せっかく需要が伸びてきている中、潤沢な供給確保が課題です。
とはいえ、全国的にはまだまだ知られていない調味料なので、いしりを使う料理をレシピ提案したり、あるいは駄菓子の材料等、遊びを持たせた提案にも力を入れたいところです。
いしりは味に癖のある調味料です。展示会では「何これ?」という第一印象を多く持たれました。そこで、使いやすく食べやすいかたちでご紹介し、まずは知っていただこうと生まれたのが、新商品の「いしりポン酢」です。

いしりポン酢に自信 ご家庭でも使いやすく

「いしりポン酢」開発では、風味の決定に最も苦労しました。30回以上の試作を繰り返し、完成まで3年を要しました。モニタリングでは、「本来のいしりの味を出すべき」という意見が地元から出る一方、首都圏のバイヤーや都市部のユーザーには「癖があり過ぎる」という声が多く、いしりの風味はほのかに感じられる程度にまで抑えました。さまざまに理想を求めた結果、高価格商品となりましたが、芳醇さを生み期待に応えられた美味しさに仕上がりました。鰹のたたき、ドレッシング、水炊きの付け汁をはじめ、用途は非常に多く、万能調味料として日常的に使っていただきたい商品です。
当社の基本姿勢として、「地域内で同業者間のバッティングはしない」という方針を持っており、他の人と同じことはしません。先祖代々から受け継がれてきた醗酵食品文化を根幹に据え、この能登の強みを都会に持っていきたいと考えています。
今後も主軸はイカの仲卸としつつ、加工品も販路を強化し、売上の柱としたいところです。製品には、糠漬けの糠床を使って浅く漬けた商品を加えたり、鮭の切り身を入れたりと、通常のセットにないバリエーションを持たせています。そうした目新しさから通信販売大手の目に留まり、採用された例もあります。干物の販売も伸びてきています。
たとえ田舎で商売をしていても、人とネットワークの繋がりがあれば、そしてよい食材を作り続けてさえいれば、ビジネスの活路は開けていくと考えています。

有限会社 カネイシ

■ 住所/〒927-0553 石川県鳳珠郡能登町字小木18-6
■ TEL/0768-74-0410
■ 代表者/新谷 伸一
■ 創業/昭和48(1973)年
■ 法人化/昭和54(1979)年
■ 業務内容/魚介類加工(塩辛、糠漬、魚卵、干物類)・魚醤製造販売・インターネット販売

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります