そばきり仁

有形文化財「中谷家」の建物で楽しむこだわりの手打ち蕎麦 個人のお宅やイベント等の「出張そば専門店」が始まり

小林 仁さん[代表]


江戸伝来の味を出せれば…

最初は個人のお宅に呼ばれて台所で蕎麦を作ったり、イベントや野外のテントで作る出張そば専門店が始まりでした。その後、穴水駅前のお店を経て、平成28(2016)年6月に「中谷家」でリニューアルオープンしました。
奥能登に移住したきっかけは、東京で生まれ横浜で育ちましたが、若い頃にインドへ放浪に行ったことがあって、インドの人達の何千年も前から変わらない暮らし振りを見て、価値観が逆転する経験をしました。それが理由で都会の暮らしはメンタル的に辛くなりました。そんな中、友達に能登の龍昌寺という禅寺のお坊さんと仲の良い人がいて、「お前もそこに行ったら」と言われ、訪れることになりました。能登の田んぼに入って、早朝、般若心経を唱えながら座禅を組んだり、玄米を食べ、気の合った人達と共に生活をしました。そこで奥さんになる人と出会い結婚しました。そこの寺にはいろんな人が集まり、蕎麦の師匠とも出会い、作り方を学びました。
石川県の有形文化財に指定されている「中谷家」で営業するのが、最大のアピールポイントだと思います。お蕎麦は手打ちの自家製粉で、蕎麦粉がほぼ10割、蕎麦の実は福井の大野産、昆布は北海道羅臼(らうす)産、水は中島町の藤瀬霊水を汲んでいます。全部こだわりと言うか、全部味に出てきます。分かる人には全部分かってしまうので手抜きは出来ないと思います。昆布の出汁を取るのに昆布を細かく切って使っています。鰹節一本、自分で蒸してカンナで厚削りする。それが結構大変で、そういった作業は江戸時代からの伝統で、そのやり方はずっと変わっていない。それはやり続けたいと思っています。

能登の山の幸を使った天ぷらのファンが増加

去年から奥さんが店を手伝っていて、天ぷらといなり寿司を担当しています。いなり寿司は奥さんのアイデアで、天ぷらの食材についても考えてくれています。天ぷらの食材は季節ごとに内容を変え、この辺で採れる「アカメガシワ」という木の葉っぱや、「そうめん南瓜(かぼちゃ)、アケビの皮」を使ったりします。
私達は元々農業をやっていたことや、二番目の子がアトピーでアレルギーも酷かったので、「自然食や体に良いものを大切にしたい」という想いがあります。また、こだわりの蕎麦を提供し、「美味しいと言ってもらいたいな」という気持ちがあります。そのためにいろいろと仕事をし、「時には金銭を超える価値や感動」をお客様からもらいます。「来てよかった」と思ってもらえる場をつくることが目標です。

そばきり仁

■ 住所/〒929-2213 石川県七尾市中島町外イ21−2(カフェ遊帆内)
■ TEL/080-5876-0020
■ 代表者/小林 仁
■ 創業/平成28(2016)年
■ 業務内容/飲食業

※業務内容や商品等はねっとわーく発行時から変更されている可能性があります